名前のない時
絶え間なく動く体、
愛しきサイレン、
犬の遠吠え
そしてそれはきっと夕暮れ
淡く、そしてとてつもなく潔く抜ける空
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/3835383/picture_pc_f002a4f9acce65eddc06c4586eca2f05.jpg)
研がれる色の鉛筆
明日に繋がる鋭敏な色とりどりのそれらは、
笑いながら私を急かす
美しい鉛たちが、私に溶かされるのを待っている
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/3835384/picture_pc_66d0202e40c94cfe3ec39cf3ea15ad5d.jpg)
経過と結果の
緯度と経度が
反転
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/3835387/picture_pc_dd05973f5da9e4d025bb1f9bbc07844d.jpg)
既存にあったものが変幻していくさま
脱色した布を編む
編みこむごとに反応を起こしていく視覚
透き通る水のような意識
それは連綿に水面に響いてく
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/3835388/picture_pc_7ca6f80c8800f643351418da1016394e.jpg)
「時間」っていう、なんだかおそろしいひとみたいなものは
抗ったり、戦ったり、競うものではなくて
なんにもなくて、そして果てなく、丁寧で、優しい
味方につけたら、とっても、やさしいひと
そしてあなたはいつも、誰のものでもないよと、ゆっくりほほえむ
おそろしいだなんて、ごめんなさいね
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三次元が折りたたまれたまま、手帳の中で眠っている七月からのそいつら
けたたましい暑さの記憶は、きっと今年も現れて
それらといかに同化して私の目に映ってくるのだろう
なんだか、すべては新しくて、綺麗につるんとしていて
すぐさま触りたくなるほどとっても潤しい
触ればなくなることを、もう何度も何度も、
この手でおぼえているのに
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予期されているものは、丹念に丁寧に練り上げられて、
そして時期が来ると急に熟して、輝いて消える
その瞬間に触れることを恐れると、
それはひとりでに、ゆっくりゆっくり、朽ちていく
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/3835392/picture_pc_9ab019855e181ceae0bf6ee561d68ec0.jpg)
無意識のプールで、ペンよ、泳げ。
溶ける、溶ける、その色の洪水たちよ、どうか逃げないで
限界を信じない私の腕は、
紙に濾過を続ける
![](https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/3835393/picture_pc_83397a89877ac02c26a1ba3eaf25d727.jpg)
虻が南天の花びらを散らす
もうすぐあの人が帰ってくる
桜の板で、春菊の根を取る
2014/07/07