talk to him


彼と話す

私は彼の存在に気づく
遥かもっと上の手探りしても届かない高い場所にいる
彼は私からは見えない

導かれたと気づいたと同時に彼の声を知る
目隠しをされたような状態で彼の声を辿っては、
私は彼の輪郭を模る


ある日
計り知れない色の洪水に、はじめてきれいな膜が張った

絶望の風に乗り、答えを探しに彼を尋ねた


「もう答えはずっと前から君の中にあったじゃないか、

それを否定し、隠し続けていたのは誰なんだ?」


私と同じ顔をした少年が
森の中で手を振る


「もうだいじょうぶだよ
いっぱいいっぱいがんばったね
波はもう、
静かだよ」


大きな鳥が私を空へと連れていく


私はもう探さない

これ以上、足りないものを探すことなんてしない


電話を棄てる

“talk to him”

2019