talk to him

since 2019-
私は彼の存在に気づく
私より遥か、もっと上の、もっと高い場所にいる彼は
私からは見えない
でも私は導かれたと気づいたと同時に彼の声を知る
目隠しをされたような状態で、私は彼の声を辿っては、
私は彼と話をするのだ

それらはいつの間にか始まっては
いつの間にか形を成していた

ある日
計り知れない色の洪水にはじめてきれいな膜が張った
風を追って答えを探しに
尋ねた彼は私に言った
「もう答えはずっと前から君の中にあったじゃないか」
8歳の少年が森の中で手を振る
「もうだいじょうぶだよ」

ふっと肩が軽くなる
大きな鳥が空へと連れてく

電話を切る

もう探さない
これ以上たりないものを探すことなんてしない

私は彼を探るために真夜中の部屋の宙を手でまさぐっている。
電気のひもを探すように、一刻も光を灯したい、その一心のように。
そんなときは、彼は必ず現れない。