彼と話す

電話を切る

彼の存在に気づく
私より遥か、もっと上の、もっと高い場所にいる彼は
私からは見えない

でも私は導かれたと気づいたと同時に
彼の声を知る
目隠しをされたような状態で、
私は彼の声を辿っては、
私は彼と話をするのだ

それらはいつの間にか始まっては
いつの間にか形を成していた

ある日
計り知れない色の洪水にはじめてきれいな膜が張った

風を追って答えを探しに尋ねた

彼は私に言った

「もう答えはずっと前から、君の中にあったじゃないか」

私は彼を探るために
真夜中の部屋の宙を
まだまだ
手でまさぐっている



もう探さない
これ以上たりないものを探すことなんてしない



少年が手を振る
「もうだいじょうぶだよ」

私は鏡を置く

2020